テツの箱をつくる人の徒然

「電車小像の鉄道日記」を放ったらかして1年。ブログ、再開しました。

ありがとうC56 160。北びわこを撮る!

5月27日。C56形160号機が最後の本線運転を行いました。
今から79年前の1939年に製造されて以来、一度も車籍を失うことなく日本各地を走り続けてきたこの機関車。定期的な運転としてはSL北びわこ号を主として活躍してきましたが、今後は京都鉄道博物館でSLスチーム号にその姿を納めます。
博物館に行けばこれからも会うことができる車両ではありますが、広い空の下でのびのびと走る姿を見られるのはこれが最後。そんな老兵の力走を撮影してきましたので、今回はその撮影記録を綴っていこうと思います。

金沢を出発したのは、26日の日付が変わろうかという頃。
珍しく、今回は車で撮影に挑みます。

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レンタカーで夜通し運転したのは、ここでの撮影に間に合わせたかったから。
今まで撮ったことのなかった、機関車の送り込み。最後くらいは欲張ろう、そういう魂胆です。

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どのように撮るか試行錯誤することしばらく。梅小路から米原へと向かう回送列車がやってきました。
牽引はEF65 1132。青い電気が蒸気を牽く、素敵な機関車コンビです。

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一呼吸置いて、撮りたいと決めた構図でパチリ。
本番でテンパって失敗することが多い私ですが、今回は割と納得いく感じで撮れました。幸先はいい感じ。
真横から眺めるということもなかなかしたことがありませんでしたが、こう見ると、C56の小柄さがよくわかります。

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続いて、送り込み列車を追いかけて、米原付近の撮影地へ先回り。
ここではどのように撮るか思案しているうちに列車が来てしまい、少々今ひとつに。
辛うじて記録としては見られる写真かなというあたりで自分を納得させます。

さて、今回は金沢から学校の友人が2人同行しての撮影だったのですが、途中でさらに、"友人の友人"を拾って巡ることに。
先ほどの米原付近の撮影地からは、その子の提案する場所での撮影となりました。
ど定番の有名どころくらいしか知らない私ですので、詳しい人がナビしてくれるというのは気持ちが軽くなるというものです。

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そんな識者の案内に従ってやって来たのは、虎御前展望台というところ。
小高い山の上にあり、虎姫~河毛の直線区間を俯瞰で撮影することができる場所でした。

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さて本番。
前日に回送されて来た12系を後ろに従えて、湖北の田園を駆け抜けていきます。
平坦な地形ですので煙突からの煙は期待できませんが、これはこれで北びわこ号らしい姿にも思えますね。

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位置を変えて、もう一枚。
ちらほらと撮影している方の姿も見受けられますね。

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山を下り、ここは長浜~虎姫間のストレート。
田植えの時期を迎えた田んぼには水鏡を期待しつつ、PF牽引の回送列車を待ちます。

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やや風が吹いてしまったせいで水鏡は崩れてしまいましたが、列車の雰囲気の良さは変わりません。
12系はSLよりEL・DLの方が合致する世代なこともあって、PFの牽引はSLとはまた違う、味のある素晴らしい姿だなと思います。

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午後便は伊吹山を背景に、麦畑を絡めて撮ることに。
こういう構図での撮影はあまり経験がないのですが、先行列車で何度も練習。本番を緊張しながら待ち構えます。

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いざ。ポニーの愛称も納得の小柄なシルエットと、牽かれる青い客車の組み合わせ。
満点とは言えませんが、少なくとも構図と雰囲気は思った通りのものが撮れました。
背後にそびえる伊吹山が、C56 160の湖北での活躍を証明してくれる記録です。

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最後の力強い走りを撮った後は、本当の最後、折り返しの回送列車を撮りに向かいます。
木ノ本へと迎えにゆくPF単機の回送は、高時川にかかる橋の付近で。
この辺りは随分前から場所取り、いわゆる置きゲバがされていて話題になったポイントでもありましたが、午後の最終盤となったこの頃には人もまばら。ゆったりと撮影ができました。

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そして、これが本当の最後。河毛カーブのアウト側を撮影地に選びました。
1975年に国鉄のSL運用終了からさらに43年。保存機としての活躍期間の方が長くなった彼の本線運転が、いよいよ幕を閉じました。
それでも、牽かれながら鳴らす汽笛の音は最後まで力強く、博物館でのこれからの活躍に期待が持てる、そんなラストでした。


私たちはここでC56 160に別れを告げ、かつては彼も走った金沢へと戻りました。
そして彼も無事に梅小路へと帰り着き、本線運転引退セレモニーをもって迎えられたのでした。

これからはD51 200が主に運用に就くとされるSL北びわこ号。今夏からは午前便のみの運転になると発表されていますが、SLの運転というのはそれだけ厳しい状況があるのかもしれません。
35系客車が新製されるなど未来へ向けて明るい話題も多いSL関連ですが、機関車たちがいずれも老体に鞭打っているのもまた事実。こうして元気に走る姿を見られるうちに、各地へ出向いて記録していきたいなと改めて思った今回の撮影でありました。

以上です。