テツの箱をつくる人の徒然

「電車小像の鉄道日記」を放ったらかして1年。ブログ、再開しました。

海峡を望む

ロンドン滞在中に訪れたロンドン市内の名所についてはすでに綴りましたが、この滞在中にはロンドンから少し離れてお出かけした日もありました。

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駅とは思えない雰囲気のセント・パンクラス駅から列車に乗ります。

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セント・パンクラス駅というと、ユーロスターのイギリス側の拠点としての役割が有名ですが、国内路線の列車ももちろん出入りしています。
そして今回乗車したのがこちら。クラス395、愛称は"Javelin"。
イギリスの鉄道で日立製作所の車両が活躍するに至る先駆けとなった車両です。
現地製造が主となる新型クラス800などとは違い、すべての車両が山口県の笠戸事業所で作られた、生粋の日本生まれ。

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側面に大きく書かれた、"highspeed"の文字。
そうアピールするだけあって、ユーロスターと共有して走る高速新線では、イギリス国内線列車では最高速度225km/hを誇ります。

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車内はヨーロッパで標準的な、集団見合い式のタイプ。
デッキ部との仕切りなどもなく、「新幹線」の雰囲気はあまり感じられません。

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1時間ほど揺られ、目的地に到着。
途中のアシュフォード・インターナショナル駅で高速新線から離れ、最高速度を160km/hに落とし(それでも速い)、在来線を走ってきました。
ここでよく見ると、屋根上に架線がない。なんとここ、第3軌条方式なのです。
日本では地下鉄くらいでしかほとんど縁のない終電方式ですので、最高速度200km/hを超すような車両がこの方式で電気を得ていると思うと、なんだか不思議な感じ。
実はサウサンプトンからロンドンまで乗った路線もこの方式でしたので、この辺りではメジャーなスタイルなのかもしれませんね。

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随分と車両の話がたくさんになってしまいましたが、やってきたのはイギリスの大陸からの玄関口と言える街、ドーバー
奥にそびえる白亜の絶壁を見にやってきたというわけです。

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えっちらおっちら坂を登り、断崖の端から港を眺めます。
主にチョークで構成されているこの絶壁は、もう少し西にあるセブン・シスターズと並んで有名な白亜の断崖として知られています。

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ドーバー海峡は、大陸とブリテン島の間が最も狭いところ。
対岸はフランスで、海峡の反対側はカレーという街。フランス側からはこの海峡を、カレー海峡と呼ぶようですね。
このドーバーの港からもカレーやダンケルクを結ぶ船がひっきりなしに出入りしています。イギリス一忙しい港なんだとか。

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かつては石灰の採掘場でもあったようで、当時は崖の上の方までスイッチバックしながら貨車を持ってきていたようです。
実際のところはちょっとわかりませんが、現地にあった観光案内の看板から推察するに、この随分しっかりと整地されている坂道は路盤跡なのではないかなと。
遠くに見えているのはドーバー城で、古くから国防の重要拠点として機能してきたようです。歴史を偲ぶには素晴らしいところでした。

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帰りもジャベリンに揺られて、あっという間にロンドンへ。
乗りたかった日本製の車両を十分堪能できて、見てみたかった白亜の壁も見られて。
ブリットレイルパスの余りを消費する目的で計画したプチトリップでしたが、充実した1日となりました。